[01:15]
あいさつ・前置き
平沢進:えー、ごきげんよう、平沢でございます。いろいろトラブっておりまして、お見苦しい点、お詫び致します。おそらく、全て解決した模様ですので、始めたいと思います。まあ、途中から見た場合でも、巻き戻せば、始めからご覧いただけますので、大丈夫かと思います。それでは始めましょう。えー、Back Space Pass 脱出系亞種音編でございます。
[01:43]
まず、Back Space Pass、略してBSPを初めてご覧になる方に、簡単に説明したいと思います。BSPはライブなどのイベントの後に不定期に行われるストリーミング番組でありまして、私が、修了したイベントにまつわるエピソードや解説を加えるなどする内容の番組でございます。
[02:09]
約1時間ですが、既に30分経っておりますね。まあ、延長してやります。約1時間の内容ですが、私の気分次第で伸びたり縮んだりも致します。それでは早速始めて行きましょう。
[02:29]
脱出系亞種音が行われた時期:新譜との兼ね合い
まず、脱出系亞種音ですが、これが新譜との関係において非常に微妙な時期に行われている点についてちょっと説明したいと思います。まず、既に脱出系亞種音が開催される以前に、私はツイッター上で現在、新譜をレコーディング中で、新譜を制作中である、という報告を随時して参りました。で、通常であれば、新譜が発表された後に行われるライブはインタラクティブ・ライブと相場が決まっております。
[03:05]
24(不死)曼荼羅ライブ
ところが、新譜の制作が終了して間もない、普通、インタラクティブ・ライブと新譜の発表の、発売の間は、約半年を設けているんですが、その間にライブの制作を行ないます。ところが、今回は、新譜の制作が終わって、間髪を入れずに脱出系亞種音が始まるというような非常に短い期間しかありませんでした。で、これはなぜかと言うと、まず、新譜の制作中に大阪のフェスティバル・ホールが押さえられました。これは、なぜかと言いますと、普通ホールを、コンサートホールを確保するのは非常に大変でありまして、出た時に確保しておかないと、後(あと)取れない場合がある、と。
[04:08]
で、取りあえず、良い出物があったので、確保しました、という話と共に確保されました。しかしそれは、新譜の発売から、数か月しか経っていないと、非常に短い、一か月程度しか経っていないと。しかも、今回はまだ、新譜が発売されずに、大阪フェスティバル・ホールをやらなきゃいけない、という状態になってしましました。そこで、じゃあ普通のライブをやるに当たっても、あまり、新譜を、折角新譜を作ってます、という、盛り上げておいて、そこで普通のライブをやるのも何か拍子抜けがするので、何か良い、何ですか、良い条件は無いだろうかと、思っている矢先に、ツイッターのフォロワーが24万人に達したと。
[05:09]
フジロックへの出演決定と脱出系亞種音のネーミング
で、これを確認する意味で、「24(不死)曼荼羅」というイベントをそこにぶつけた訳です。で、えー、インタラクティブ・ライブに...その後、新譜が発売されるのですが、インタラクティブ・ライブに向けて、約半年以上の期間を設けて、次のホールが押さえられるまでの間、全く何も無くなってしまう、ということで、折しも、フジロックのお誘いがやって参りまして、フジロックのフジという語呂と「24(不死)曼荼羅」の「フシ」という語呂がちょうど一致するために、それは、もうその語呂、単なる語呂の流れで、この度も折角お誘い頂いたので、出演しよう、と。で、それに当たっては、我々独自の「脱出系亞種音」というタイトルを設けさせて頂いたという次第でございます。
[06:10]
フジロックに初出演(2019)し、2度目の出演(2021)をしたこと
で、そもそもフジロックの中において、我々、というか平沢というのは、恐らく異質、かなり異質な感じで、違和感があっただろうと常々感じております。それが、2019年の初出演の時に、何か色々なタイミングがあって、それから前振りの文章などが多大に平沢を期待させるような文章だったために、恐らくそこへ持って来て、何だか訳の分からないものが舞台に出てきて、他とだいぶ違うけど、何かわーっとやってわーっと帰ってしまった、という感覚によって、何かみんな騙されたんじゃないか、と。で、なんか、あの、一瞬何かがやって来て、さっと去って行った、と。会場を掻き回して去って行った、と。
[07:14]
それがなんとなく、その、何かすごい事が起きたような誤解を受け、で、そのまま、話題だけが一人歩きして大きくなってゆき、youtubeの再生数も膨大になってゆき、で、人々は話題の大きさによって、私にある種のイメージを抱いて、次のフジロックに出演した時にはその何か、勘違いというか何というか、そのまま、よりグレードアップしたステージに位置して頂いて、で、その後、実態を見てみたら、「なんだ、こんなもんだったのか」というふうに言われてしまうのではないか、という懸念もあったのですが、まあ、わーっとやって、また例によって、わーっとやって、なんだか分かんないものがわーっとやって去って行ったというような印象の中で、再び話題になってしまった、というような、さ中に我々は居ります。
[08:30]
あくまでやっぱり、ああいう、その、何て言うんですか、野外で音楽を聴きながらいろいろ楽しむというような、その、音楽も、その、野外で楽しむ場に音楽が鳴っているというようなところで、やはり場違いではないかと思われる我々が、一応まだ歓迎されている状態で、さっと去る事ができた、というような感じで行われたライブでございました。
[09:05]
ドラマー:ユージ・レルレ・カワグチの採用
そして、そのライブはですね、まず、2019年の時点で予想していた編成が有るんですけれども、会人2人と、生ドラムが加わってフジロックに臨むと、2019年の段階ではそう予定していて、ドラマーを探し、ユージ・レルレ・カワグチという人材を見つけたんですが、残念ながら、彼はその時期に日本に居なかったため、参加できなかった訳です。今回はまあ、その時のリベンジという形で、ドラマー、生ドラムを加えた編成で急きょ、ライブに挑んだという感じでございました。
[10:10]
まあ、ステージも前回よりも大きく、それから、野外であるということもあって、やはり、ドラムの入ったライブ感というのが、ある種効果を発揮したのではないかと感じた次第でございます。
[10:33]
築波山近くでのリハーサル、東京でのリハーサル
それで、今回がですね、リハーサルが、前回が、いつものライブに挑む時の形態とだいぶ違いました。ていうのはですね、オリンピックなどがあり、高速道路に規制がかかり、いつも行なっているリハーサル会場に私が高速を使って行くために、その規制がかかると、一体いつ到着するかが分からないと、何時間経っても到着せず、私だけが疲れるという羽目になるのは嫌なので、急遽、むしろ私の地域寄り、つくば、筑波ツインピークス付近。男体山と女体山があるので、私はツインピークスと呼んでいるんですけど、つくばツインピークス寄りの大きなスタジオを探して、そこで、皆に電車で来てもらおうと。で、私は近場で車に乗って行くという形態をとれば、その時間のロスというのが防げるという事で、久々にバンド形式のリハーサルを行ないました。
[11:59]
なぜバンド形式かというと、通常行なっているライブのリハーサルでは、PA装置をそのまま、ほぼ会場と同じセットで組んで、そこでやるために、モニターは、ヘッドフォンで、ライブと同様のイヤフォンでモニターをすると。ですので、モニターのバランスをモニターのミキサーから来るバランスそのままですので、まあ、言ってみれば、ステージに立った時と同じようなモニター状態の中でリハーサルが行われていた訳です。それがいきなりですね、風雨のバンドのように、スピーカーから流れて来るオケを聴きながら、そしてここにいるうるさい生ドラムを聴きながら、練習をするという久々にそのバンド形式のリハーサルをやりまして、「なんと疲れるものだな」というような状況で有りました。
[13:01]
で、そうこうしているうちに、一定期間つくばツインピークス付近でリハーサルをやり、そしてオリンピックの規制が終わった頃に、今度はゲネプロとして2日間、いつも行なっている都内の大きなスタジオでフルセットを組んでリハーサルをするというようなやり方を致しました。で、そこでは、照明のスタッフから映像のスタッフから全部揃いまして、そして、PAもモニターも全て、ライブ会場で使う者と同じセットを持ち込んで、全てそこで音を調整して、そのままライブ会場に持って行くというような形式を採ったわけです。
[13:57]
フジロックでの本番前のサウンドチェック
で、実はこれは毎回やっているんですけど、とはいえ、スタジオの中で作った音とライブ会場に行ってから出て来る音というのは全く違うので、ライブ会場では必ずリハーサル、サウンドチェックとリハーサルを行なって、もう一度再調整して、モニターのバランスなどを取り直していかなければ、非常に困難なライブになるということで、そのために必要な時間を取っていたのです。ところが、フジロックとなるとですね、前に他の演者達がやっているわけですから、我々が出て行ってそこでリハーサルするわけにはいかないし、サウンドチェックをするわけにもいかないということで、「さあ、どうしようか?」ということで、実は前日にスタッフが乗り込んで、空いてる時間にセットを組んで調整したというようなことをやっておりました。
[15:07]
水分補給
ちょっと水分を補給致しますね。
(ボトルの水を飲む)
で、こういう事をするとまたお前達は何か言うんだよな。まあ、いいや。ふっ。
東京から新潟苗場までの1台の車での移動
それで、前日からスタッフが乗り込むと、同時に我々も前日から乗り込みました。ていうのはいくつか理由があるんですが、私が乗物酔いする体でありまして、いつも使っている乗物酔いの薬というのは、ほぼ一日中利いているタイプのものを使っているんですね。それがその私の体にもそれほど負担にならず、効果も良いという物を使っているんですが、難点は、非常に眠くなってしまうと、そうすると、まあ当日入りして、夜本番ですから当日入りしてもいいんですが、眠いままステージに立たなければいけないということになりまして、ステージ上で寝てしまう、まあ、寝てしまう事は無いけれども、志ん生師匠のようにお客様の前で寝てしまったと。そうするとお客さんも粋なもんで、「志ん生が寝ている姿何か見られないから寝かしとけ」っていうようなことが有りましたけど、私の場合そうもいかないだろうということで、前日に乗り込みまして、薬の効果を消してから本番に臨むという段取りを取る必要がございました。
[17:00]
フジロック会場から滞在ホテルまでは車で30分の距離
そして我々はですね、そんな色々な諸事情が有りまして、ステージに近いホテルには泊まれなかったんですね。まず楽屋という物が、最初の楽屋という物が最も会場に近いホテルに在るんですけれども、そこから今度は車でステージ脇の楽屋まで移動して、そして本番に行くという段取りなんですけれども、数分で会場まで行けるんです。ところが、我々が泊まっていたホテルは会場から30分、車で30分の距離がありまして、しかも、会場に最も近い苗はプリンスホテルの楽屋が使えないという様な状況でした。で、まあ、でも、なんというか、露天風呂があり、会場に最も近いホテルには無い設備が有るというので、そしてまた、ユージ・レルレ・カワグチが大喜びの和室の大きな部屋があると。それぞれ、その大きな部屋に入れられたんですけれども、私は和室では準備ができないとパソコンをいじったり、それからギターをチェックしたりするのに、和室で座ってできないというので、部屋を替えてもらいました。ということで、我々は、本番前に車で移動して、そしてそこからまた、山に車で登って行き、ステージ脇の楽屋まで行くという段取りとなりました。
[19:11]
で、その時の車というのがですね、なんとこの度全ての、私と会人、そしてユージ・レルレ・カワグチ、それからスタッフを乗せた1台の車で行ったわけです。まるで80年代のP-MODELのようなツアーを思い起こす感じです。高速道路を、遊びに行くでもないのに、なんとなく楽しみに、一台の車の中で移動するという光景は非常に、過去の悲惨な暗く辛いツアーを思い起こすような光景でありまして、私は最後部に陣取ってそのまま寝てしまおうということで、乗り物酔いの薬の眠さに頼ってそのまま寝てしまいました。
[20:22]
そんなこんなでですね、ホテルは会場から車で30分の距離に在ると、そして、その間、私のテーマはですね、乗り物酔いの薬無しで現場に着かなければいけないという、この過酷なテーマが私には有ったんですけれども、まあなんとか乗り切りました。
[20:49]
ギターPHYTOELECTRON SEEDについて
えー、そして、まあそんな感じで本番に挑む訳ですけれども、この度、脱出系亞種音で使った、初披露の機材がいくつがありますけれども、それについてちょっとお話ししていきましょう。まずは一番重要なのは、Phytoelectron の Seed というバージョンですね。これは先日イケベ楽器でCap稲沢さんが、EVO開発者の稲沢さんが解説してくれましたけれども、
[21:35]
(ギター: EVO PHYTOELECTRON SEEDを手に取って見せる)
これが、EVO PHYTOELECTRON の SEEDというバージョンですね。これはフジロック用に作ってもらいました。これ、よく、今、他のEVOと何が違うかと言いますと、まず大きく違うのはこのPickupですね。このPickupはですね、いわゆるJazzmasterという機種、FenderのJazzmasterという機種に載っかっているPickupでありまして、Jazzmasterという機種はですね、非常に古い機種でありまして、元々はそのジャズプレイヤーの為に開発されたのでJazzmasterと言うんですが、ジャズプレイヤーにはそれほど受けずにですね、むしろSurf Rock、Surf soundの人達に非常にウケが良かった機種であります。で、なぜそうかと言うとですね、非常にクリアーなサウンドが出て、リバーブ、スプリングリバーブなどを載せると非常に金属的な、何というか、非常に硬質な音が出るという機種から移植されたPickupです。で、この機種もですね、だんだん、近年に至るに連れて出力が大きくなり、歪(ひず)みやすくなるような仕様になっていって、現代的なちょっと歪んだ音とか、まあそのようなサウンドを作り易いような仕様になっているんですが、私のものはこれはビンテージで昔ながらのクリアーであまり出力が大きくないサウンドが出る者を搭載しております。
[23:39]
で、ここに、
(ギターのボディーのPickupとPickupの間の部分を指差す)
注目すべきはここですね。ここに、ヒラサワ、中井さん、中井ヒデフミ(正しくは敏文/トシフミ)デザインのヒラサワマークが入っているんですが、これは、ルミボディーに、なんというんですか、削り出しのように削ってあるんですね。これが非常に何か大変な加工だったらしく、あまり細かいとできないので、これが限界の大きさだそうです。そしてここに非常に小さな小さな文字でSUSUMU HIRASAWAと有るんですが、これが、つまりPickupのネジによって妨害されていると、しかし、様々な兼ね合いによってこのサイズはこれがベストだということで、ベストのためにHIRASAWAを潰しました、という事ですね。
[24:35]
そして、さらに他のEVOと違うのは、このトレモロ・ユニットです。他のEVOのトレモロ・ユニットとは違いまして、
(ギター: EVO PHYTOELECTRON SEEDのトレモロ・ユニットを見せる)
今のEVOは全てこれが付いているみたい、これの仕様になっている様ですが、非常にですね、何というか、滑らかで、例えば私はデストロイ・ギターを弾いた時に、ギューンって、普通トレモロ・アームは下に押していくんですが、本当に逆に引っ張り上げて弦のテンションを上げるという乱暴なことをやるんですけど、上に引っ張り上げる時のそのレンジも確保されていまして、非常に使い勝手が、乱暴するには使い勝手がいいという機種、ユニットが付いています。そして、わざわざこのトレモロ・アームも調整して頂きました。で、他のPHYTOELECTRONはネックがグリーンですが、これはこのこげ茶色のままで、ヘッドはPickupと同じ色でクリーム色というかオフホワイトというかそんな感じです。で、ここにPHYTOELECTRONの...
(ガタッという物音がする。平沢、右下を見て「おおぅ。ちょっと待ってくださいね」と言い、倒れたサイドテーブルを元にもどす。)
おおぅ。ちょっと待ってくださいね。大参事です。
ええ、マウスのテーブルが転倒致しまして、あれ?
(しばらく無言でパソコンのモニターを凝視する。マウスをクリックしながら、画面上で何かを探している様子。)
[27:06]
(平沢、画面から席を外す)
えーと、これは見えていますでしょうか?そのままで見えていますでしょうか?
(画面が黒くなる)
えーっと、これ、映ってますか?
[28:23]
(画面が復旧する)
ええ、映ってますでしょうか?そちら映ってますでしょうか?ちょっと別室のモニターで...見えていない。もう一度ちょっと、リロードしてもらえますかね。
(平沢、席を外す)
[30:15]
(平沢、着席して、ヘッドフォンを装着する)
えー、聞こえますでしょうか?本日は散々でありますね。今ですね、マウスのテーブルを倒しまして、その瞬間に一旦、ストリーミングのソフトが落ちてしまった、という状態でありました。その、復帰させて始めたら、URLが変わってしまうかと思ったんですが、そんな事はございませんでした。では、このまま続けたいと思いますが、どこまで行きましたかね?
[30:49]
PHYTOELECTRONのはなしだった様な気が致します。えっと、そういう感じでですね、PHYTOELECTRONを、無事、無事ではなかったんですが、後(のち)に、これは、無事ではなかった理由について、説明致します。
[31:11]
新しいレーザーハープ
次にですね、レーザーハープですね。新しいタイプのレーザーハープを使用しました。で、24(不死)曼荼羅の時にあのタイプのレーザーハープは公開・使用したんですが、更に改造が施されています。まず、どのように改造が施されたかと言いますと、まず今まで使っていたレーザーが横に飛んでいくものは、片方に光のセンサーが有りまして、レーザーが常にそのセンサーに当たっているところを手で遮る事によってスイッチが入ってそれがコンピュータに送られて楽器のスイッチを入れると。そういうものでした。で、今回はですね、下から上に向かって、つまり横にビームが飛ぶレーザーハープは平沢が見えなくなって邪魔だと言う意見が有りましたので、それを取っ払うために、今度は下から上にレーザーを発射するという、で、前には何も無いというバージョンを作った訳です。で、下から上に発射した、24(不死)曼荼羅で使ったものはですね、上に光のセンサーが有って、そして遮ると、その横だったものを縦にしただけなんですね。で、ところが、色々支障が出ると、あれでも。照明の影響を受けたりとかですね、様々な問題が生じたので、こんどは、下から上がって来たレーザー光線を手で遮った時にここに
[32:59]
(左手の人差し指で、広げた右の掌を指す)
ここが光りますよね。この光を下にあるセンサーで感知すると。それが、今まで光を直接感知していたタイプではなくて、カメラでそれを捉えて、あるグリッド上に、どの位置にあるかというのを感知して判定するという、今までのセンサーとは違うものにしまして、それがコンピュータの送られて、シンセサイザーやサンプリングマシンのスイッチを入れるというタイプのものに変えてあります。なぜこれが良いかというとですね、上から照明が来たり、下から照明が来たり、あらゆる方向から照明が来るので、受光部に影響が及ぶんですね。そうすると誤動作しやすいし、例えばあの台が揺れると、センサーに当たらないことがある、せんさーを外してしまうことがある、ということも有り得るので、揺れない私、台が揺れても、その台と同じように揺れることが無い人間の手に当たった、この当たった光を感知するというような仕様に変えて有ります。これもまた、実は上から来る照明の影響を受けやすいのですが、しかし、照明は手で遮られている訳ですから、普通に今まで通り、受光部に光が当たって影響が出てしまうタイプのものよりも誤動作はしづらい、尚かつ、これから更に改造されていきますけれども、そのセンサーの方に、一つの筒のようなものを付けて、なるべく周囲の照明の影響を受けないような処理をすると思う、ことによって、最終的に今より数段安定したものが出来るのではないかと。つまり、あのレーザーハープはまだ発展途上です。
[35:31]
ということで、インタラクティブ・ライブまでには、おそらく何らかの完成形ができ上ると思います。これ全てをやっているのは松村君です。松村君というのは私のローディーであり、かつ舞台監督である彼です。彼に任せておけば取りあえず安心ということで、彼が今一生懸命、仕事の合間を縫って、レーザーハープの研究をやっております。研究と工作を続けております。
[36:05]
透明のヘルメットについて
さて、それに加えてですね、新しい道具というか、を使いました。これは、あの、照明が当たっていなかったので、かつ1曲しか使っていなかったので、よく分からなかったのではないかと思いますが、アルバムのジャケットデザインで使われているヘルメット、あれを一曲目の途中イントロの部分だけ被っていました。ちょっとこれからご覧に入れます今。またちょっと何か倒して大参事にならないように注意して行ないます。
[36:45]
(ヘルメットを取り出して見せる)
これですね。見えますでしょうか?こういう物です。透明なのでよく
(ヘルメットがマイクにゴンとぶつかる)
痛(いた)。こういう物です。これはですね、まずこれを被ると何が起こるかというと、音の抜ける場所が無いので、中で出した声は全て跳ね返って来ます。全て跳ね返って来て、かつ外の音が全く聞こえないので、何というか今まで経験したことのない様な音の洪水のようなものが押し寄せて来て、何が何だか分からなくなります。そして、ここにファンが付いていて
(ヘルメットの銀色のファンを指さす)
2つのファンが付いているんですけれども、こちらにも。こちらか。このファンによって空気が循環するんですが、空気が循環することによって曇らないように、息で曇らないようになっているはずなんですが、実はこのファンの音がこの中でウォーと鳴っていまして、とてもじゃないけどこの中で歌う事ができません。で、このファンが有るにも関わらず、時間が経つと曇ってきます。曇ってくるので、曇らないように、このファンの勢いを強くすればするほど中でウォーッていう音が鳴っていて、もう何が何だか分かりません。そこで、フジロックの前にですね、加工してもらいまして、この横に三角の穴を開けてもらいました。こちらにも開いておりますが、
[38:50]
(ヘルメットに開けた三角形の穴を見せる)
この三角の穴のお陰で何かが良くなったかというと、ほとんど良くなりません。全ては軽減されたけれども、やっぱこの中で歌を歌うというのは不可能です。そして、ここに重たい電池が入るんですが、重たいバッテリーが入って、これを被ったまま、この中で鳴っているあらゆる物音と自分の声は全てマイクが拾ってしまいます。これは、えー、まあシンボル的な物なので、アルバムの中で使われているのでシンボル的な道具ではありますが、残念ながらライブでは、歌う時には外さなければならない。ということで、これは、歌う前に外すことになりました。以上、このヘルメットです。
[39:52]
Flash Bookについて
さて、次です。あ、そうだ、フラッシュブックというのがありますね。「夢みる機械」の時に、私が分厚い本を持って、黒メガネをかけて出て来ましたけれども、で、その表紙を開けるとバーッとフラッシュが焚かれて顔に当たるという、あれはですね、前回、小さなビーズ状のLEDが瓶から出て来るというアイディアと同じくですね、私の映像スタッフが考えたものです。で、彼はいつも何かそういう細かい物を用意していて、「これ何かに使えますか?」「これ何かに使えますか?」という風に私にプレゼンして来るんですね、で、また今回も沢山のLEDのビーズを持って来て、「これ何か使えることがあったら使ってください」って言うので、「じゃあ考えましょう」ということで、考えていたんですが、「夢見る機械」の時に何かを持って出たい、ということで、何か光り物、ということで現場で色々話しているうちに、「こういうことが出来ます」と。
[41:23]
「本の中にストロボを仕込んで開けたら光るようにできますが、それを使えたら使ってください」ということで、あの演出が考えられました。実際問題、あれ、物凄い光量で、「絶対自分で見たら目が眩むので、見ないでくれ」と言われたんですが、「見ないでくれ」と言われれば見たいのが人情でありまして、しかし、ライブ中に目が眩んではいけないので、やはり、こう、あの日のライブは、お客さんがどういう人たちが居て、どこにどんな人が居るのかという、しっかり、めったに出るチャンスも無いようなライブですから確認するために、目を眩ましてはいけないと。逆にスポットライトというのが無かったので、それで目が眩むことは無い代わりに、あそこでいきなりあれを浴びるとやっぱり目が眩んでしまうだろうということで、我慢しました。我慢して目をそらしていたんですが、それでも凄い光量で、それでステージ脇に戻って行く時にちょっとやっぱり足元が分からなくなって困った、という状態ではありました。これはもう全開に引き続き、私の映像スタッフが考えた、提供してくれた物を私がどこで使うか、どのように使うかという事を考えての結果でございます。
[43:15]