http://www.nicovideo.jp/watch/sm723389
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(Japanese)
平沢進「小学校の時にパン屋さんに行ったんですよ。その時に、僕の横に高校生位のお姉さんが入って来たんですよ。僕が手をだらんと下げて突っ立って居たんですけど、そこにお姉さんのスカートが触ったんですよ。たまたま。たまたま、触ったんですよ。その時の感触が、例えば、今まで女の人のスカートみたいな物っていうのはカーテンしか無いでしょ?」
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戸川純「なるほど、ねえ」
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平沢進「別にカーテン触ったからと言って気持ちの変化が有る訳じゃないんだけど、その時は初めてスカートを触ったんだけど、何と柔らかい素材で出来ているんだろう!と思ったんですよ。ああ、女の人はこういう柔らかい物に包まれているんだ、と」
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戸川純「それが女性ってやつとの出会いというものですか?」
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平沢進「そうなんですよ。女の人は、カーテンのような見栄えだけど、質感が全然違う、と」
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戸川純「柔らかくてホニャホニャしている」
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平沢進「ホニャホニャしている、っていう感触を持ったんですよ。その後、不味い事に、その2~3日位後に、実は打たれている女の人を見ちゃったんですよね。女の人っていうのは、柔らかくてふわふわしていて、そういうもんなんだな、って初めて思っている矢先に、家の近所に土手が在りまして、その傍に団地が在るんですけども、遊んでて、喉が渇くとその団地の水飲み場で水を飲むんですよ。蛇口に口を付けて水を飲みながら、ふっと土手を方を見ると、また、綺麗なお姉さんが、その時二十歳位の人だったと思うんだけど、土手の上に男の人と向い合して立って、何か口論してるんですよ。でね、いきなり男の人が打ったんですね。何か面白い事が起こっている、と。」
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戸川純「これは、ねえ、やっぱり、ねえ」
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平沢進「延々ね、一時間位見てたんですよ。ま、こっちも見られちゃいけないと思うから、何遍も水を飲みに来ている振りをしながら、実は隠れて見てたんですよ。女の人は、ずーっと打たれてる訳。でね、その二人が居なくなって、友だちと二人で、その現場を見に行ったのね。打たれた跡を。」
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戸川純「跡を。もう、その人達は居ない」
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平沢進「居ない。そしたら、そこにね、女の人が唾を吐いてたのね。何故かと言うと打たれてどうも口の中が切れたらしくて」
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戸川純「飲み込んじゃいけないから、ね」
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平沢進「その唾がね、土手の上に点々と在って、湯気が立ってる訳ですよ。」
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戸川純「それは冬だったんですか?それで、生々しい、あの、あれで、みたいな」
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平沢進「そう。何て言うのかな」
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戸川純「蒸発して行く訳ですね」
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平沢進「蒸発して。で、血が混じってるの。それを見た時にね、2~3日前の女の人の感じが一気に覆された気がして、『女の人は汚い』と思ったの。何かね、そこには内臓が落ちてるような、如何にも有機的な湯気が立っている、ドロドロの物。あんなに綺麗なお姉さんが、口からこんなに汚い物を出している。何かね、それ以来、『女の人は汚い』っていう印象がほんの2~3日の間で、(印象が)逆転してしまった」
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戸川純「何だか、まるでそれは、『女性は不浄の者』と言った宗教的な物のようですね」
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平沢進「本当にね、生々し過ぎて、しかもその、打たれてる人。人が打たれている光景って嫌じゃないですか」
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戸川純「特別は光景ですよね。見たいと思って急に目の前に現れる光景じゃないですよね」
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平沢進「その嫌な、胸に痞えている嫌な気持ちと一緒になって、そこに落ちている、湯気が立っている、ね」
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戸川純「何か、シンクロしますね」
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平沢進「それでね、女の人は汚いものだっていうことが、頭の中に入ってしまいましたね」
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(→この後日談は「『ピンクは血の色』と主張する平沢進」Niconico Videoで語られています。)