Green Nerve会員限定イベント
「景観する循環カフェ」11/16昼の部 レポート
2016年11月16日(水)14:00~16:00
At: 吉祥寺 Star Pine's Cafe
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客入れBGM: David Bowieの弦楽カバー(
Amanda Palmer and Jherek Bischoff Deliver Stunning String Tribute to David Bowie)
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(注:走り書きメモから起こしていますので、一言一句原文のままではありません。ご了承ください。)
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<あいさつ・平沢さん登場>
司会のケイオスユニオンの平野美歌さんが登場。
平野:「本日は平日の昼間にも関わらずおいでいただきまして、ありがとうございます。お礼を申し上げます。」
「まず、本日の流れを説明いたします。最初に45分ほどトークを行いまして、15分の休憩を挟み、後半は60分のライブ、その後プレゼントをお渡しする予定となっております。
それでは、平沢に登場してもらいましょう。」
客席から盛大な拍手。平沢進さんが登場して、ステージへ向かってやや左手のテープルに着席。平沢さん登場と共に「キャー」「ヒラサワー」の声も多く聞かれました。(最初に大声で「キャー」と叫んだのは私ですw)
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平沢:「こんばんは」
GN団:(ドッと笑う。笑いながら)「こんばんはwww」
平沢:「平日にもかかわらず、おいでくださいまして...今日、会社休んだ人?」
GN団:(ほとんどの人が挙手する)
平沢:「すみません」
GN団:(笑)
平沢:「本日の景色は...」
平野:「けっこう古い方が多いです」
平沢:「けっこう古い?」
GN団:(笑)
平野:「若い番号の方が多く来ていらっしゃいます。」
平沢「1回目は景色が違ったんです。毎回景色が違うので、『今日はどうかな?』と。」
平野:「グリーン・ナーブの前のヒラサワ・パイパスから移行したんですが、本日は一番若い番号の11番の方が来ていらっしゃいます。」
GN団:「おおおー」
平野:「また、10番台の番号の方の半分以上がいらっしゃいます。」
GN団:「おおおおー」
平沢:「ありがとう。ここ2~3年、客に面と向かって『ありがとう』と言ったことないんですが。」
GN団:(笑)
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<Q and A>
《ドロシー犬》
平野:「さて、質問に移らせていただきます。
『ドロシー犬の思い出を聞かせてください。セラピー団体から譲り受けたと聞きましたが、どういう経緯で譲り受けたのですか?』」
平沢:「ドロシーは私がつけたのではないです。私ならそんな名前はつけませんから。セラピー団体とありますが、カウンセラーの先生が群馬県の山奥の土地に沢山の心理的治療が必要な人の治療の施設をつくったんです。そこで動物セラピーを行っていて、馬、犬、猫などを、どんどん買いあさった。しかし経営がヤバくなり、小さいものから手放していった。それで私が譲り受けたのがフラットコーテッド・リトリーバー(flat-coated retriever)。珍しい犬種なんです。散歩してると「その犬、何ですか?」と訊かれる。犬が好きな人には分かるようで、よくその話になる。だから散歩中に(話しかけられないように)『ドロシーもっと速く歩け』と言ってました。」
GN団:(笑)
平沢:「よろしいでしょうか?」
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《健康法・食事法》
平野:「はい。今日は質問が多いです。
『平沢さんが体験して一番効果があった健康法を教えて下さい。』」
平沢:「フフッ、笑ってしまった。
食事です。子供の頃からベジタリアンでしたが、食事の量と内容を考えるようになってから、いろんな症状が出なくなりましたね。まずパニック障害。風邪はひかなくなった、またはすぐ治る。口内炎。顎関節症も再発しないですね。私は(もともと)肉を食わないので何の努力も要らないんですが。玄米中心、野菜中心。少なく食べる。
体操は時間を設けなきゃならないですが、食事はしなきゃいけないので(実行しやすい)。」
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平野:「今の質問に関連した質問です。『マクロビオティック的な食事に変えられてから、精神面や頭脳の使い方の面で、変化は有りましたか?』」(←ちなみにこれは筆者が事前に提出していた質問です!)
平沢:「私はマクロビではないんです。ただ、マクロビに近い食事にしてから、落ち着いているかもしれない。大人になって、この年齢になって普通の人なら穏やかになるんでしょうが...」
平野:「ここで、『いつ大人になるんですか?』という質問もあるんですが。」
平沢:「落ち着いてますね。食事のせいか、他の原因かはっきり分からない面もありますが、如実に分かるのは、締め切りに動じない。図々しくなったのではない。なんとかできるということを知っている。自分を信頼しているという安心感がある。ほとんど動じないですね。」
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《自宅でいちばん好きな場所》
平野:「『いつになったら大人になるのでしょう?』という質問は、かわされてしまったんですかね。
次の質問です。『ご自宅で一番好きな場所はどこですか?』」
平沢:「全部いい場所です。どの場所もすばらしい。自分の気に入るようにアレンジして作ったので当然ですが、どこにいてもいい。最も長く居るのが青の間。最も快適な場所は、ねこが乗るので、できるだけ行かないようにしています。」
GN団:(笑)
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《無人島に持って行きたい物》
平野:「『無人島に3つだけ持っていくとしたら何ですか?』」
平沢:「真面目に。まずナイフ。何かの種。時計。悩むね。すいませんね。後日会報に持ち越して...。シンプルな質問は苦手で。」
平野:「3つ言われたけど、何か心外なんですか?」
平沢:「いや、いいです。」
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《自分に厳しく人に優しくするには》
平野:「『平沢さん、ごきげんよう。いつもストイックにお仕事されていますね。平沢さんのように自分に厳しく他人(ひと)に優しくするにはどうしたらいいでしょうか?』という質問です。」
平沢:「私が自分に厳しく人に優しい、と思ったら大間違いです。」
GN団:(笑)
平沢:「自分に優しくしないと、人にも優しくできない。(と、ここで質問文が書かれたプリントを読み返し、呟く)ブツブツ...
ステージでミスをするとサッと後ろを向く。」
GN団:(笑)
「(さもスタッフがミスをしたかのように。)こういうことがなんなくできるようにならないといけない。利己主義ではない。自分を好きになる。自分に優しくする。そうすれば人にも優しくなれる。」
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《集中力をつけるには》
平野:「『私は集中力がないのが悩みです。仕事中の集中力を保つにはどうすればいいでしょうか?』」
平沢:「その仕事は好きじゃないんじゃないですか?これを言うと大変なんですが、好きなことなら集中できる。集中して続けられるのは好きなことだからなんです。そうやっちゃうといろんなことがついて来る。整って来る。一時的には混乱するかもしれないですが。自然と人の役にも立つ。例えば十代なんかだと『イヤならやめちまえ』とも言えますが、なかなかそうも行かない。私も頼まれ仕事で、昔、CMの音楽等やりましたか、全く面白くない。つまんない。それでもやっているうちに、いろいろな局面で、自分しか思い付かないようなことが出てくる。そういうものを物事の中心に置いてやっていけば...だんだん怪しい集会になってきた...」
GN団:(笑)
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《一番こだわって作った曲》
平野:「『曲が作れなくても動じなくなってきたとのことですが、今までの曲で目茶苦茶こだわった曲はどの曲ですか?』」
平沢:「『現象の花の...秘密』...だっけ?」
GN団:(笑)
平沢:「ちまたでは音数(おとかず)が少ない、手抜き、と言う人もいますが、最も時間がかかった曲であります。鎮西さんは『音数が少ないほうが難しい』と言います。」
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《ギターソロのアレンジ》
平野:「『ギターソロのアレンジはどのように決めているのですか?その時その時?日によって、またはライブによって決めているのでしょうか?』」
平沢:「ケース・バイ・ケースです。ライブもCDも同じように弾きたいんですが、だんだん飽きる。『またこのフレーズか』と。それでわざと外したり。昔はロックのミュージシャンは、『いつも違うフレーズを弾くから凄い』とか、逆に『レコード通りに弾くから凄い』とか言われていましたが。私は早く済ませたいんです。レコーディングでも、リハーサルをやっている間に飽きて、ふと外すこともあります。」
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《ボーカルのエフェクト》
平野:「『平沢さんの多くの歌にエフェクトが掛かっていますが、ライブでは、その時々でローディの方が調整しているのでしょうか?』」
平沢:「調整するのはミキシング・エンジニアです。ライブの時は手動ですが、エフェクトの部分だけがあらかじめプログラムされていたり...いろいろです。」
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《照明について》
平野:「『ステージの照明についてです。[この部分はこの照明にしてほしい]とか指示を出すことはありますか?』」
平沢:「あります。ライブステージでは、図解入りでスタッフに配布して、CGのアニメーションのこの時はこう、とか、口で言って判らなければ、こうだ!という風に。今のライティング・スタッフは三代目で、わざと仲の悪いやりとりをして、目まぐるしく変わる照明を指示したり。大江さんというんですが、『大江対策』という開発コードがあって、『大江退治に成功』とか。照明が一番目まぐるしかった曲は『死の無い男』ですね。ライブでいうと『東京異次弦空洞』あれが一番指示か多い。『後光が差して神々しい照明にしてくれ』そしてその男が後片付けをするという...普通は照明は舞台監督?普通は照明さん?がやるんでしょうが。」
平野:「平沢さん場合はかなり細かく(パターン)1、2、3、4、5...とか...」
平沢:「マンドレイクの時は、自分でペダルを踏んで照明をやっていた。かといって全て私の指示通りにというわけではなく、照明さんの提案は受け入れる。インタラの照明が一番難しいです。以前、文字のところに模様を出しちゃったことがありました。CGとヒラサワとの絡みが難しい、と。」
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《猫について》
平野:「『猫に乗られるのは楽しいことではありませんか?』」
平沢:「仕事の時、血管を圧迫されるのは辛い。寝る時は顔に乗られる。あと、ずーっと見られるのは嫌じゃないですね。」
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《人付き合いの秘訣》
会場から:「平沢さんなりの人付き合いの秘訣を教えてください。」
平沢:「とにかく仲良くする。無理に仲良くではない。あまり言いたくないですが、私のリハーサルの現場は笑いが絶えない。言葉きたなく罵っても、角が立たないような関係。レコーディングの時は鎮西さんも私もお互いにボロクソ言う。上下関係というのは辛いですね。今日も朝一番に入ってぞうきんがけしましたし。細かいギャグが鎮西さんとの間に飛び交っている。先日も食事に行って『ツサナラダ』とか言って。鎮西さん、そういうこと言うんですよ。」
GN団:(笑)
平野:「それ言ったのは平沢さんですよね。いま鎮西さんのせいにしてましたけど。」
GN団:(笑)
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《珍事件》
平野:「『ヒラサワ番日誌』のエピソードとか、最近ではホテルで仁丹をばら撒いたり、いろいろな珍事件がある平沢さんですが、これまでで一番の珍事件を教えてください。』」
平沢:「もうほとんど言ったから、あまりないですね。発電機事件、というのがありました。タイのアユタヤ遺跡で、日が暮れてきたので発電機を持って聞くるように頼んだ。しかし待てど暮らせど来ない。発電機というと屋台でよく使うような(小型の)ものを想像しますね。そうこうするうちに発電機が届いたんですが、なんと軍隊の発電車が来た。」
平野:「バスみたいな」
平沢:「発電車が来て『良かったね』と思ったら、発電しない。結局、発電できませんでしたね。『発電機』というと軍の発電車が来ちゃう、それがタイ。」
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《量子論》
平野:「『平沢さんはよく量子論や量子力学について話されますね。『プシーが原の策謀』とか、『能動説』にも、量子論が関係あるのではないでしょうか。不確定性原理や哲学的な見方を、作品を作る際意識していますか?』」
平沢:「量子論にはアーティストや芸術家が共感する要素があります。『アーティストの妄想か』と思われていたようなことがきちんと数値化できる。量子論では主観はいかがわしくない。むしろ主観がカギになる。だから共感しやすい。かつて、Musicians' musician、つまり、ミュージシャンに好かれるミュージシャン達、Kate Bushとか、King Crimsonなんかがいましたが、そういう傾倒するミュージシャンが80年代以降いないんです。そこからは量子論のほうに惹かれる。共通した、しっかりとした現実としてアクセスできる。その世界観は常に有るんです。」
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《占いについて》
平野:「『賢者のような平沢さんですが、占星術や占術に対してどのようにお考えですか?』」
平沢:「ユング、易、偶然へのアプローチには興味があります。これから五行論を勉強しようかな、と思っている。しかし、それ(占い)に傾倒しやすい人々、『それ言わなきゃいいのに』というようなことを言っている人、特に女性の...周辺文化には関心がないですね。」
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《夢について》
平野:「『Scuba Recycle等、見た夢から発想したという作品がありますが、今でも夢からの発想というのはありますか?』」
平沢:「あの頃は壮絶な強い印象の夢をよく見ていました。パニック障害の前あたり、カウンセリングを受けて、夢日記をつけていた。最近は夢を見なくなったので、夢日記もつけられない。バランスが良くなってしまったんです。」
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<ライブの説明>
平沢:「今日のライブの説明をします。3曲あるんですが、1曲が10分以上あります。曲を構築しながら、考える時間、しまったと後悔する時間も含めて10分以上。もしかすると退屈するかもしれませんが、退屈したら失敗です。
3曲目は皆さんの声を使います。協力していただきます。ファルセットを希望します。できれば。どうせ裏切られるんですが。」
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<休憩:15分>
BGM:(アーティスト名がわからないのですが、ミニマル・ミュージック的な音楽をバックに英語の語りで「One, two, three, down, up, feel free...」というような詩が入っていたような...どなたか特定できる方、教えてください。)
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<ライブ:約60分>
・ライブ演奏は、ステージやや右側に設置された椅子に座って行われました。椅子の周りに2本のマイクスタンドや、その他の機材やエフェクト・ペダルなどが囲むように設置されていました。Pre-recordingされた仕込み音源に、その場でギターやボーカルの音を録音しては重ね、録音しては重ねて多重録音を作っていく実験的な手法のライブでした。
事前の情報で曲名は聞いていたのですが、セトリの順番を覚えていなかった私は、それぞれのイントロで「何の曲だろう?」と思い、だんだん「あ!あの曲だったんだ!オリジナルと全然違うアレンジー!」という驚きと感動を味わいました。
1:ロタティオン
2:電光浴
3:Chevron
・3曲目Chevronでは、私たち観客の声をバックコーラスに使うということで、何度か平沢さんの指導のもとに練習した後、本番の録音をしました。練習の時、平沢さん、「ふうー、こうです。いいですか?さん、はい!」「ふうー」 「さん、はい!」「ふうー」「さん、はい!」「ふうー」「さん、はい!」「ふうー」 とまるで合唱団の先生みたい。本番録音の時は、無言で、手をクルクルして、次に、どうぞ、という仕草。「(クルクル、はい!)」「ふうー」「(クルクル、はい!)」「ふうー」「(クルクル、はい!)」「ふうー」「(クルクル、はい!)」「ふうー」...まさか平沢さんにコーラス指導を受けることができるとは!幸せでした。平沢さんの希望通りのファルセットは難しかったですが。音域が女性のメゾソプラノくらいの音域なので、大半の女性は地声になってしまったようでした。録音が終わると、試聴。聴いてみると「ふうー、ガヤガヤ、ふうー、ガヤガヤ」と、コーラスの合間にガヤガヤとおしゃべりの声も入っていて、平沢さん「これは皆さんの責任です。このまま行きます」と。出来上がったChevronは、仕込み音源、私たちのバックコーラス、平沢さんのバックコーラス、ギター、その上に平沢さんのメインボーカルが乗って、圧巻でした。(途中、機材がハウリングを起こして、鎮西技師が調整に出てこられた場面がありました。)
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<おみやげタイム>
平沢:「もうネットの情報できいていると思いますが、ピック自慢をします。(2枚組のうち)一つは、テスラカイトのアンチ・バーコードの下にS.Hirasawaと書いたもの、もう一つは、私のサインをデータ化したものです。穴が開いていますが、これは好きな物を通してお使いいただける、というものです。『本当に(ピックとして)つかえるんですか?』と言った不届き者がいましたが、使えます。」
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ここで、例の雨どいを利用して作られたという「ピック流し機」が登場。会場から、「ぎゃはは、あれなのー?」という声や笑いが。雨どいは全部で4本でした。「先頭の方から、4名様ずつ、お並びいただき、プレゼントをお受け取りください。」という案内に促されて、4人ずつ前に出て、待機。平沢さんが1枚ずつ、ピックを「ピック流し機」に投入していく。受け取る人たちは、口々に「ありがとうございます!「ありがとうございました!」等と言い、手でプレゼントを受け止めて、そのまま退場。私も「ありがとうございます!」と言いましたが、平沢さん「はい」とちゃんと答えてくださいました!平沢さんと1メートル以内に近づいて挨拶できる機会を参加者全員に与えてくれるなんて、感激でした。
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ライブ後(ピック流しの時の)BGM: Brian Eno / Taking Tiger Mountain (by Strategy) このアルバム中のBack in Judy's Jungleから始まったと記憶しています。大好きなEnoさんの曲をBGMに平沢さんから直接プレゼントを受け取り、ライブの余韻に浸れるのは、最高でした。
(後記:このレポートは、筆者がノートに走り書きしたものを文字起こししていますので、間違いがあるかもしれません。「ここはこうだったよ」「ここ、違うよ」等ありましたら、ご指摘いただければ幸いです。)
2016/11/19